本当に原子力発電の発電コストが一番安いのか


福井県の大飯原発が定期検査のため9月16日ストップし、国内の原発50基すべてが運転停止となります。一方で原子力規制委員会の安全審査を受けて12基が再開の準備をしています。電力会社は原発が止まると、発電コストの高い火力発電に切り替えると電気料金がさらに上がると報道しています。

下の表はエネルギー白書(2010)の発電単価表です。総合エネルギー調査会と若干数値が違いますが、キロワット時は原子力が5~6円、火力(LNG)が7~8円、水力が8~13円、風力が10~14円、太陽熱が49円となっています。この数字だけみると原子力が一番発電コストが安いことになっています。建設コストは原子力100万KWと50万KWの火力発電のキロワット当たりのコスト30万円と同じとなっています。

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原子力発電の発電コストが本当に安いのか、前からおかしいなと思っていましたが、今回の福島原発事故の報道発表でコスト算定項目に入っていないものが次々と明らかになってきています。

① 廃炉コスト

2013.7.2朝日新聞「廃炉費参入不足 34基1700億円」電気料金上乗せの恐れ」

資産廃棄の計上はしているもの、ずさんな方法が明るみに。

②使用済み核燃料棒の再処理に関するコスト

年間800トンの使用済み核燃料棒の六ヶ所村での再処理費用は電力会社には関係なく、国レベルで対応のため電気料金に含めていない。
六ヶ所村の再処理施設にかかわるコストは19兆円(電気事業連合会が2004年1月付で公表した金額)。この金額は現時点で公式な数字と位置付けられていますが、専門家によるとこれでも見積もりが甘いと言われています。

③ 高レベル放射性廃棄物に関するコスト

これも電力会社には関係なく、国レベルで対応のため電気料金には含めていない。

さらに、福島原発事故で放射能汚染除去が遅々として進んでいない状況で、それにかかる費用はどんどん膨らんでいますが、これも想定しなかったコストです。

かかるコストを電気料金に含めないことで、原子力発電の発電コストを低く見せても、上記のコストは結局、国民一人一人が負担することになり、相当高いものにつくことになります。

今すぐ原発を廃棄しても、廃炉コストや使用済み核燃料棒の廃棄処理に膨大なお金がかかります。廃炉ビジネスへの取り組み、代替エネルギーへの早期シフトと原子力発電の放射線の安全性を確保しつつ、フェードアウトしていくのが一番いいのではないでしょうか。

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